犬の潜在精巣

【概要】

精巣は通常生まれたときは腹腔内に形成され、成長とともに陰嚢内に下降しますが、片方あるいは両方の精巣が陰嚢内に下降せず、腹腔内あるいは鼠径部の皮下に残ってしまう病気のことを潜在精巣といいます。原因としては、遺伝的要因や環境要因が関与していると考えられており、また潜在精巣の場合は中高齢での精巣腫瘍の発生率が10倍程度に増加するため、早期に外科的に摘出することが望ましいと言われています。

 

【診断】

診断は通常触診で行い、6ヵ月齢になっても精巣が陰嚢内に下降していない場合は潜在精巣を疑います。精巣が鼠径部皮下に存在する場合は触診で確定診断が可能ですが、精巣が腹腔内に存在する場合はレントゲン検査や超音波検査で確定診断を行うことは困難なことが多く、開腹手術を実施して腹腔内の精巣を確認して初めて確定となります。

 

【治療】

前述のとおり、潜在精巣は中高齢での腫瘍化のリスクが上がるため、治療には早期の精巣の外科的摘出を勧めております。精巣が鼠径部皮下に存在する場合は、通常の去勢手術とさほど変わらない術式で比較的短時間で手術を行えますが、精巣が腹腔内に存在する場合は開腹手術を行う必要があるため、手術の難易度が少し上がり傷口も大きくなります。

 

【当院での取り組み】

子犬のうちは、混合ワクチンや狂犬病ワクチンなどの予防接種の目的で定期的に来院していただく機会が多いため、診察の際にしっかりと身体検査を行い、潜在精巣が疑わしい場合には飼い主様に手術の必要性をお話しします。

 

【通院・入院の予測】

当院では、去勢手術は基本的には日帰りで行っており、潜在精巣の摘出手術においても日帰りでの手術の対応が可能です。なお、麻酔からの覚めが遅い場合や飼い主様がご希望される場合は一泊入院の対応も可能です。

 

【費用の予測】

診断までの費用は1,000~2,000円程度で、手術を行う場合は4~6万円程度になります。なお、この費用は患者の体重により異なる可能性がありますので、手術を行う場合は診察を行った担当獣医師としっかりと相談をしながら進めていきます。