チョコレート中毒

【概要】

チョコレートは人にとっては身近な食品ですが、犬や猫にとっては「中毒」を引き起こす危険な食品です。チョコレートに含まれる「テオブロミン」や「カフェイン」が脳や心臓に影響を与え、中毒症状を引き起こします。猫は甘みを感じにくいため食べることは少ないですが、犬は甘い香りに惹かれてチョコレートを食べてしまうことが多く、量や種類によっては命に関わるケースもあります。中毒性としてはカカオの含有量に比例しビターチョコレートほど少量でも中毒に至ります。そのため近年人気のあるカカオ70%以上(またはそれ以上)のチョコレートであると少量でも中毒に至るため注意が必要です。

 

【症状】

症状は興奮や震えから始まり重度な場合にはけいれんや失神を引き起こします。症状の程度は食べたチョコレートの量や種類(ビターチョコほど危険)によって異なります。早ければ摂取後2〜4時間以内に症状が現れます。

 

【診断】

チョコレート中毒は症状だけで診断することは難しく「何を・どれくらい・いつ食べたか」が診断の鍵になります。

・問診:摂取時間やチョコレートの種類・量を確認します

・身体検査:神経症状や心拍、体温を確認します

・血液検査・尿検査:重度中毒では他の臓器に障害が出ていないか確認します

 

【治療】

チョコレートの種類、量、動物の体重により治療の有無を決定します。中毒量の目安としては5kg程度の小型犬の場合には一般的なミルクチョコレートを半分以上は中毒の危険性がある量となります。逆に中毒量からきわめて少ない量の場合には中毒になる可能性は低く様子を見ることがあります。また治療はできるだけ早く始めることが重要です。摂取直後か、まだ症状が出る前であれば、より効果的な対処が可能です。

・催吐処置(吐かせる):食べた後数時間程度であれば、食べたものを吐かせて体内に吸収される量を減らします。

・吸着剤の投与:腸での吸収を抑えるために投与します

・胃洗浄:食べた量が極めて多く催吐処置が上手くいかない場合には全身麻酔をかけて内視鏡を使用しつつ胃洗浄を行います。

・点滴・入院管理:点滴により体内から毒素を早く排出し中毒症状を軽減します

 

【入院・通院の予測】

多くの場合には催吐処置や内服治療を行い通院治療にて治療を行います。入院が必要なケースは稀です。

 

【費用の予測】

・軽症(診察、内服薬処方):3000~5000円程度

・中程度(催吐処置、点滴、内服治療):15000~25000円程度

・重度(入院、集中治療):50000~100000円程度