口のできもの 腫瘍
【概要】
犬や猫の口の中にできる腫瘍は、約80~90%の確率で悪性のがんであると言われています。そのため、早期発見と治療が非常に重要です。早い段階で適切な治療を行えば、良い結果が得られることも多くあります。しかし、口の中は普段の生活で確認しにくいため、腫瘍の発見が遅れがちです。食事の際の違和感、口臭の悪化、よだれの増加など、口の異常に気づいた場合は、早めに動物病院を受診することをおすすめします。
【診断】
診断の第一歩は視診(目で見て確認)です。しかし、動物が口を開けるのを嫌がることが多いため、ご自宅で写真を撮影しておくと診察時に役立つため可能であれば写真を撮って診察の際に獣医師に見せて下さい。しこりを見ること(視診)によってある程度、良性か悪性かの見極めは可能ですが、確定診断には麻酔をかけての精密検査が必要になります。検査では腫瘍の細胞を採取し、顕微鏡で詳しく調べます。また、がんが転移していないかを確認するために、レントゲン検査や血液検査を併せて実施します。
【治療】
口腔内腫瘍の治療は、主に手術によって行われます。早期発見であればあるほど、手術の傷も小さく、治る可能性も高くなります。そのため、早期発見早期治療がとても重要となります。がんの種類によっては、手術に加えて抗がん剤や放射線治療を行うこともありますが、多くの場合、手術が第一選択となります。
【当院の取り組み】
当院では口腔内腫瘍の手術ケースが多く、ほとんどの手術に対応可能です。またすぐに手術や麻酔をかけて精密検査を行うのではなく、まずは問診と視診を丁寧に行い、その後、動物や飼い主様に合わせた診療計画を提案します。例えば、高齢で怖がりな17歳の犬で、視診の結果良性の可能性が高い場合は、無理に麻酔をかけず経過観察をする方針を提案することがあります。一方で、7歳の比較的若い犬で、視診時に悪性の可能性が高い場合は、早期に精密検査を行い、迅速な治療へと進む診療計画を立てます。このように、当院では年齢や性格、病状に応じて最適な診療プランを一緒に考えていきます。
【入院・通院の予測】
腫瘍の大きさや治療内容によって通院・入院期間は異なります。手術を行わない場合、定期的な経過観察のために月に1~2回の通院が必要になることがあります。麻酔を含めた検査や簡易的な手術を行う場合、通常1~3日程度の入院が必要となりますが、大きな腫瘍の切除や合併症のリスクが高い場合には、1週間以上の入院が必要になることもあります。術後は経過観察のために1~2週間ごとの通院が必要となることが一般的です。個々の状況により異なりますので、詳しくは担当獣医師と相談してください。
【費用の予測】
・視診のみの場合:3,000~5,000円程度
・麻酔を使用した精密検査の場合:30,000~70,000円程度
麻酔前検査:10,000~30,000円 麻酔費用:10,000~20,000円 腫瘍の病理検査:20,000~30,000円
・手術を行う場合:10~30万円程度
費用にかなり差がある理由としては、動物の状態や腫瘍の大きさなどにより手術内容や手術後の経過が異なるためです。ただ手術前にある程度の概算は可能であるため詳細な必要に関しては担当獣医師とよくご相談ください。