ワクチンアレルギー
【概要】
ワクチンは感染症からくる病気を予防するために重要な役割を果たしますが、まれに人と同様にアレルギー反応を引き起こすことがあります。犬や猫のワクチンアレルギーは、接種後数分から数時間以内に現れることが多く、軽度な症状から重篤な反応まで様々です。多くの場合には様子を見ることで数日以内に自然治癒しますが、中には通院や入院治療が必要なケースもあります。
【症状】
ワクチンアレルギーの症状は以下のように分類されます。
・軽度の症状
接種部位の腫れや痛み、軽度の元気消失や食欲不振
・中等度の症状
顔やまぶたの腫れ(血管性浮腫)、嘔吐や下痢
・重度の症状(アナフィラキシーショック)
呼吸困難、血圧低下による虚脱(ぐったりする)、痙攣や意識消失
特に重度なアナフィラキシーショックは生命に関わるため、直ちに獣医師の診察を受ける必要があります。
【診断】
ワクチンアレルギーの診断は、ワクチン接種後の症状や反応の経過をもとに行います。
・身体検査、問診:接種後に発生した症状の有無や時間を確認します。
・血液検査:炎症マーカーの上昇などを調べます。
【治療】
ワクチンアレルギーの治療は症状の程度によって異なります。
・軽度の症状:飲み薬の抗ヒスタミン薬やステロイドの投与で症状を抑えます。
・中等度の症状:点滴や注射の抗ヒスタミンやステロイドの治療
・重度の症状(アナフィラキシーショック):酸素吸入、強心剤の注射、静脈点滴などの緊急処置を行います。
【当院の取り組み】
当院では、ワクチン接種を安全に行うために以下の取り組みを実施しています。
・ワクチン接種前のリスク評価
問診や身体検査を行い体調が安定しているかを確認、同時に過去のアレルギー歴や体調をチェックし、ワクチン接種の適否を判断します。
・ワクチン接種後の経過観察
ワクチン投与後は院内で15~30分程度待合室にて経過を見てもらいワクチンアレルギーの症状が疑わしい場合には早急に対応します。
・ワクチンアレルギーの病歴がある場合
ステロイドや抗ヒスタミン薬を事前に投与し、接種後も通常よりも長時間院内で経過観察を行います。
【入院・通院の予測】
多くは数時間から半日程度で改善するため、長期間の入院が必要なケースは少ないです。
【費用の予測】
ワクチンの費用とは別途以下の治療費がかかります
・軽症:3000~5000円程度
・中程度:5000~10000円程度
・重症:10000~20000円程度