犬のクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)

【概要】
クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)は、副腎というホルモンを分泌する臓器からステロイドホルモンであるコルチゾールが過剰分泌される病気で、犬では比較的よく認められます。クッシング症候群には、両側の副腎が大きくなる下垂体依存性のものと、片側の副腎のみが腫瘍化する副腎依存性のものがあり、犬では下垂体依存性が大半を占めています。症状としては飲水量や尿量の増加、多食、腹部の張り、皮膚の脱毛などがよく認められますが、元気や食欲などの一般状態は良好なことがほとんどです。

 

【診断】
診断は上記の臨床症状に加えて、血液検査や腹部超音波検査、尿検査、ホルモン検査などを行い総合的に判断します。血液検査では肝臓の数値や脂質系の値が上昇することが多く、また超音波検査では片側性や両側性の副腎の腫大化が認められます。これらによりクッシング症候群が疑われる場合は血液検査によるホルモン検査を行い、ホルモンの数値が高い場合は確定診断となります。

 

【治療】
症状が軽度な場合や血液学的な数値の異常があまり認められない場合は、無治療で経過観察を行うこともありますが、一般的には本疾患が診断された場合はホルモン抑制剤の内服薬による治療を行います。一日1~2回内服し、2週間~1ヵ月後に症状の改善が見られるか、薬による副作用が見られないか身体検査や血液検査で確認します。同時にホルモン検査も行い、薬の量の調整を行います。また副腎の腫瘍化が認められる副腎依存性の場合は、手術により腫瘍を摘出する場合もあります。

 

【当院での取り組み】
本疾患は飲水量や尿量の増加、皮膚の脱毛など飼い主様が気付かれて受診されるケースや、ワクチン接種などの定期健診の際に飼い主様からの稟告を通して見つかるケースが多いため、当院ではどんな症状に対しても問診を欠かせません。また犬の正常の飲水量は1日に1kgあたり30~50mlと言われているので、飲水量の増加が気になる場合はご自宅での測定をご提案いたします。そして本疾患が疑われる場合は、診断のためや他の疾患を除外するため各種検査をご提案いたします。また本疾患は生涯付き合っていく病気ですので、投薬を開始するタイミングなども飼い主様とよく相談しながら決定していきます。

 

【通院・入院の予測】
ほとんどの場合は通院で治療可能です。診断した場合はまずは内服薬を1~2週間継続いただき、薬が飲めているかどうか、また副作用がないかなどご自宅でのご様子を確認します。薬を継続できそうであればそのまま継続いただき、1カ月後に再度ホルモン検査を行い薬の量が適正かを確認します。初めの数カ月は、月に一回くらいの頻度で通院いただき、薬の量の調整を行いますが、ある程度数値が安定してきたら通院の頻度も3カ月~半年に一回に減らすことが出来ます。

 

【費用の予測】
診断までの費用は3~4万円程度で、ホルモン治療を開始すると1ヵ月あたり5000~6000円程度になります。なお、この費用は患者の状態や体重により異なる可能性があります。この病気は基本的には生涯にわたって治療が必要になるため、治療に伴う費用や投薬がわんちゃんや飼い主様にとって負担にならないよう、診察を行った担当獣医師としっかりと相談しながら進めていきます。