犬の慢性腎臓病
【概要】
腎臓がダメージを受けて十分に機能しなくなる状態を“腎不全”と言い、これが長期間続く状態を“慢性腎臓病”と言います。症状としては、初期の段階では飲水量や尿量が増えることが多く、犬の場合目安としては体重1kgあたり一日で80-100ml以上の水を飲んでいる場合に多飲の可能性が高いと考えられます。また進行すると元気や食欲が低下し、体重減少や嘔吐が見られることもあります。その他にも、造血ホルモンが作れなくなり貧血になることもあり、末期には尿毒素が血液中を流れることで神経症状や発作が起きることもあります。
【診断】
飲水量や尿量の増加などの臨床症状に加えて、血液検査や尿検査、超音波検査などで総合的に判断します。血液検査で腎臓の数値が高い場合であっても、一回の検査で“慢性腎臓病”と診断することは困難な場合も多く、2~3か月ごとの定期的な検診が必要となります。超音波検査を行うことで、“慢性腎臓病”以外の疾患(尿管結石や腎臓腫瘍など)を除外することも重要となります。また高血圧を伴うこともあるため、同時に血圧測定を行うこともあります。
【治療】
治療法は病気の進行度により異なります。食欲があり臨床症状がほとんどない軽度な“慢性腎臓病”の場合は、タンパク質やリンを制限した食事療法や積極的な水分摂取による治療から開始します。その後も3~6か月ごとの定期的な検診を行い、数値の上昇が見られたりタンパク尿や高血圧が認められる場合は、降圧剤や吸着剤、サプリメントなどにより治療を強化します。病気の進行に伴い食欲の低下や体重減少、嘔吐などの症状が見られる場合は、定期的な点滴治療や制吐剤、食欲増進剤などにより治療を行います。
【当院での取り組み】
上記のように治療法は病気の進行度やその子の状態により異なります。また犬の性格によっても実施できる治療が変わってくるため、それぞれの子に合った治療法を飼い主様と一緒に相談しながら決めていきます。“慢性腎臓病”は特に高齢になると発症する可能性が高い病気であり、定期的な健康診断や血液検査で早期発見ができる病気です。当院では10歳未満の子では2~3年に一回の血液検査を、10歳以上の子では年に一回の血液検査や画像検査などの健康診断を推奨しております。
【通院・入院の予測】
病気の進行度やその子の体調にもよりますが、多くの場合は通院で治療可能です。初期の“慢性腎臓病”の場合は、ご自宅で食事治療や投薬を行っていただき2~3カ月おきに定期検診を行います。血液検査での腎数値の上昇や食欲の低下、体重減少などが見られる場合は、週一回程度の点滴通院や、ご自宅で点滴を行っていただくために点滴指導をさせていただくこともあります。また、数値の極端な悪化が見られたり、一般状態が著しく低下している場合は、数日~一週間程度の入院治療をご提案する場合もあります。
【費用の予測】
診断までの費用は2~3万円程度です。診断後の定期的な血液検査は一回あたり3000~5000円で、内服薬を処方する場合は一カ月5000円~2万円程度です。また通院治療で点滴を行う場合は一回あたり1000~2000円ですが、点滴入院を行うの場合は一日1.5万~3万程度になります。なお、この費用は犬の状態や体重により異なる可能性があります。この病気は治療期間が長期にわたることが一般的です。そのため、治療に伴う費用や投薬が飼い主様にとって負担にならないよう、診察を行った担当獣医師としっかりと相談しながら進めていきます。